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小さな本の展覧会

わたしたちが気づいたこと 忘れたくないこと コロナ渦と読書

2021年5月14日(金)~9月17日(金)

※上記日程を予定 8:30~19:30(土・日・祝日を除く)

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小さな本の展覧会

わたしたちが気づいたこと 忘れたくないこと コロナ渦と読書

コロナ禍によって、私たちの生活はよくも悪くも変わった。

とくにすべてが強制的に止められたあの春
否応なくできた時間の中、ていねいなくらし方に目を向けたり、
今までよめなかった本を読んでみたり、
ひとりきりの空間で、生きること死ぬことを我がこととして考えたりした。

つらいことも多かったが、せわしなさと雑音が消えた街で
ゆっくりしたときの流れとしずけさのなかで
気づいた「大切なこと」も多かった。

生きることって、なんだっけ?
ひとって、あんがい素朴なものでできているんだな……。

食べてしあわせ、ねむって満足。身近な人の笑顔にほっとする。
五感で感じた、 いのちの手ざわりを忘れずにこれからも生きていきたい。
せっかく気づいた大切なものを、また忘れてしまうのはいやだ。

あの日々の記憶を「生きること」を体現した6つの動詞に託し、
それを手掛かりに本を選ぶ、楽しむ

”人の想いをとどめる”ことができる 本の力を借りて、
皆の「忘れたくない」日々の記憶を形にしてみました。
ここに、「あなたの1冊」をぜひ加えてみてください。

「忘れたくない本のはなし」プロジェクト あなたの一冊を教えて下さい
  • 読む
  • 食べる
  • 歩く
  • 想う
  • 遊ぶ
  • 死ぬ

KEY BOOTH

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ
飯田亮介/訳 早川書房

BOOK
Detail
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COMMENT

今回の「小さな本の展覧会」の一番大事なキーブックがこちらの本です。『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノというイタリア人の作家が書いています。彼は素粒子物理学を勉強したのになぜか小説家になった人、つまり自然科学がわかる人ですから、ウイルスというものが他の小説家とはちょっと違った視点から見えている気がします

感染症というのは「今まで僕らが生きてきた様々な関係というものを侵す病気だ」という観点から、自分がこのコロナ禍の世の中に放り込まれた時に、ものに対して、人に対して、どういう風に考えるようになったのか、もっと近くにいる家族についてどう考えるようになったのか、そうしたことを小さなエッセイを重ねることで伝えてくれる一冊です。幅 允孝

われらにおのが日を数えることを教えて、知恵の心を得させてください。(旧約聖書 詩篇第九十篇より)そんな祈りを思い出すのは、感染症の流行中は誰もが色々なものを数えてばかりいるからなのかもしれない。僕たちは感染者と回復者を数え、死者を数え、入院者と学校に行けなかった朝を数え、株価の暴落で失われた莫大な金額を数え、マスクの販売枚数を数え、ウイルス検査の結果が出るまでの残り時間を数え、集団感染発生地からの距離を数え、キャンセルされたホテルの部屋数を数え、自分と関係のある人々を数え、自分があきらめた物事を数える。そしてひとつ、幾度も幾度も、何よりも繰り返し数える日数がある。危機が過ぎ去るまでにいったいあと何日あるのか、だ。

 でも、僕はこんな風に思う。詩篇はみんなにそれとは別の数を数えるように勧めているのではないだろうか。われらにおのが日を数えることを教えて、日々を価値あるものにさせてくださいあれはそういう祈りなのではないだろうか。苦痛な休憩時間としか思えないこんな日々も含めて、僕らは人生のすべての日々を価値あるものにする数え方を学ぶべきなのではないだろうか。

飯田亮介/訳 早川書房(P98~99)

COMMENT

この本の中には印象的なところがいくつかあるんですけれども、例えばこの旧約聖書の詩篇からの引用です。要は、コロナ時代になって僕たちはとにかくいろんなものを数えている、例えば感染者の数、死者の数、株の暴落で失われた金額、マスクの販売枚数、ウイルスの検査数、いろんなものを数えて数えて、そしてそれがまるで「自分があきらめたものの数」みたいなことも考える……後ろ向きのカウントをどんどん続けているんですけれども、逆にこういう未曾有の事態が訪れたことによって前向きに数えられるものはないんだろうか、そうしたことを教えてくれる言葉があったりします。幅 允孝

僕は忘れたくない「平和の様相はすでに現れてきている。到来するのは闇夜のようでもあり、また忘却の始まりでもある」(マルグリット・デュラス『苦悩』田中倫郎訳 河出書房新社)戦争が終わると、誰もが一切を急いで忘れようとするが、病気にも似たようなことが起きる。苦しみは僕たちを普段であればぼやけて見えない真実に触れさせ、物事の優先順位を見直させ、現在という時間が本来の大きさを取り戻した、そんな印象さえ与えるのに、病気が治ったとたん、そうした天啓はたちまち煙と化してしまうものだ。僕たちは今、地球規模の病気にかかっている最中であり、パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけているところだ。数々の真実が浮かび上がりつつあるが、そのいずれも流行の終焉とともに消えてなくなることだろう。もしも、僕らが今すぐそれを記憶に留めぬ限りは。
 だから、緊急事態に苦しみながらも僕らはそれだけでも、数字に証言、ツイートに法令、とてつもない恐怖で、十分に頭がいっぱいだが今までとは違った思考をしてみるための空間を確保しなくてはいけない。三〇日前であったならば、そのあまりの素朴さに僕らも苦笑していたであろう、壮大な問いの数々を今、あえてするために。
 たとえばこんな問いだ。すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか。

飯田亮介/訳 早川書房(P107~109)

COMMENT

もう一つ、この本の中で印象的なのは、結局「我々は忘れてしまうということ」。このコロナ禍においていろんなこと、自分の在り方とか、仕事の仕方とか、もっと言うならば、人生をこの後どうして過ごしていくのか、というようなことを、すごく人は考えたんですけれども、そういうことを考えたことすら、また生活の回転数が上がってくると忘れてしまう。でも本当に忘れてしまっていいんだろうか、彼が書いているように「すべてが終わった後、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」。そういう問いかけをしてくれている。それこそがこの“小さな本の展覧会”全体で伝えたいことです。幅 允孝

BOOTH 01-06

日本出版クラブ“小さな本の展覧会”
「私たちが気づいたこと忘れたくないこと」
今回は6つの動詞にちなんで、コロナ禍において
の読書というものを伝えようとしています。

BOOTH 01

情報、未来…すべてが不確かに感じられた日々の中で「書かれた」文字のたしかさに、強烈に惹きつけられた。ひとりの時に、本の中、メモ書き、お菓子のしおりにこめられた、人の想いにも癒された。

読む

COMMENT

まず一番最初がこの「読む」。インターネットを中心に、はたしてどの情報が正しいのか間違えてるのかわからない、という時に、責任の所在がはっきりしている本というものをしっかり読み込む、ということが、価値を見直されたと感じています。本を読むということは一度立ち止まったり、一つの言葉をよく考えたり、読み戻ったり……自分で時間をコントロールできる、そうした面でも「読む」ということが見直されたのではないでしょうか。

今回「読む」というテーマでいろんな本を集めてみました。まさにウイルスに関連する本、これから社会はどうなっていくのだろうかということに関しての本。仕事に関しても、例えばこのデヴィッド・グレーバーの『ブルシットジョブ クソどうでもいい仕事の理論』これ読んだ人は多分今もう転職しちゃってるのかもしれません。仕事をちょっと考え直さなきゃいけなくなってしまう、そんな本もあれば、一方でそもそも本を読むということを考えるための本だったり、さらに新聞を読み、食べたお菓子の説明文を読み、子どもが書いた自由研究を読み、いろんなものを「書いて読む」。それは、一人の人がぎゅっと搾り出した言霊みたいなものを一人の人が受け取る、その精神の受け渡しみたいなことだと私は思います。そうして真剣に自分の生き方みたいなものを考える、そのために読むような本がここのブースにはたくさん集まっています。幅 允孝

BOOTH 02

どんなときでも食べなければ生きていけない、当たり前のことが腑に落ちた。そしてこれまで口にしてきたものは、誰かが育て、獲り、運び、料理してくれていた、ことに感謝の気持ちが湧いてきた。

食べる

COMMENT

続いては「食べる」をめぐる本です。「食べる」ことはコロナ禍において、見直されたことの一つなのではないでしょうか。今まで料理をしなかった方が電気圧力鍋を使って何とか料理をしてみようと思ったり、今まで読まなかったレシピの本を読んでみたり、などなど。あるいは毎日よく食べているものでも、それが一体何なのかということをしっかり考えるために本を使ったということもあるかもしれません。

例えばこれは『カレーの教科書』という子どもでも読める絵本仕立ての本ですけども侮ることなかれ、カレーの旨味って何なのかということをものすごく細かく説明してくれます。旨味といってもコンブとかカツオとか煮干し、を使わないカレーの旨味がどこにあるのか、読むとよくわかります。ほかにも食でどのように世界中がつながっているのかを考える本だったり、長田弘さんの『食卓一期一会』という食をめぐる詩の本だったり。一個一個よく噛んで読むような、様々な本がこの「食べる」ブースには詰まっています。幅 允孝

BOOTH 03

電車やバスに乗らずに歩く…そうしたらまさに足元が見えた。道端の雑草や空の色、かすかな匂い。今日明日でなく、生涯かけて自分はどこへ行こうとしているのか、考え直す心の隙間が生まれた。

歩く

COMMENT

次は「歩く」です。今まで乗っていた電車やバスに乗らずに歩いてみる、そうすると足元が見えてくるわけです。今までとにかく急いで急いでどこかに行こうとしていた回転数をちょっと変えてみる、そういった視点の本が集まっています。

例えばいきなりですが、カルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』だったり、吉田健一の『時間』だったり。時間てそもそもなんだったのかみたいなことを考える本からスタートして、『森のさんぽ図鑑』といった野草や草花をよく知る本があったり、また歩くことによって深呼吸がしっかりできますよね、そこで『深呼吸の必要』という長田弘さんの本があったり……。

今までとにかく目の前の風景を見ずに僕らは走り続けていたのかもしれないんですけれども、周辺の環境をよく見てみる、すると気候変動の激しさに気づいたり(『地球が燃えている』)、これからのプラネタリー・バウンダリー(=地球の治癒する力)をどういう風に受け止めればいいのか(『小さな地球の大きな世界』)を知ったり、そういうことにまでも気付いてくるのではなかろうかと思っています。幅 允孝

BOOTH 04

移動が制限されたって、心の自由は奪えない。スマホの画面、TV、映画、本、コミック…どこを入口にしても、古今東西、どこにも行けて、なんでもできる、大切な人にも会える。想うことで人はつながれる。

想う

COMMENT

続いて「想う」という動詞です。想像の「想」です。移動が制限されたことによって、逆に我々は心の自由さみたいなものを獲得したのではないのかなとも思っているんです。動けなくても頭の中で色々な場所に行ける、いろんなものに思いを巡らすことができる、そうした考え方から、本当に身近なことから宇宙の向こう側にあるようなことにまで考えを巡らす本がこの本棚には集まっています。

河合隼雄による家族の人間関係を考えるための本があれば(『家族関係を考える』)、レイモン・ペイネの愛の多様さについて触れるカートゥーンブック『愛の本』、庄野潤三さんの『夕べの雲』のような家族の団欒と季節のうつろいが静かに描かれる本当に素晴らしい小説もあれば、多和田葉子さんの『地球にちりばめられて』という、コスモポリタンとしてどうやって生きていくのかということを考えさせてくれる本もあります。人間の想像力というものは世の中がどれだけ不便になってもとどまることがない、いろんな所に羽ばたいて行くことができる、心の面でも技術の面でも拡げていくことができるということを、この棚では表したいなと思いました。幅 允孝

BOOTH 05

遊びをせんとや生まれけむつらい時にこそ、この境地がありがたい。遊ぶために生まれてきた、と思えれば、すべてのことが軽やかにすべらかに、何をしていても毎日を自分のために楽しめる。

遊ぶ

COMMENT

続いて「遊ぶ」。本当に自分の趣味全開で遊ぶ『釣りを知らずに老いるなんて!』という本があれば、昔から続く子どものわらべうたの本『さよならさんかく』もあります。

一方で、遊びというものがだんだん自発的なものになってくるってどういうことなんだろうか、ここで一緒に考えてみたいんです。例えばこのチェスの神童と呼ばれたジョッシュ・ウェイツキンさんの『習得への情熱』。彼はなぜかチェスから太極拳にうつり世界選手権で覇者になる。全く違うものの中から「型を見つけて学ぶ」ってなんなのかということを彼なりに解析して、自分の中で学びの型を整えていくことってどういうことなのかを教えてくれます。

あるいはそもそも『自由ってなに?』という本。この本を読むとわかるのは、やっぱり自発的に生きるってどういうことなのか、いろんなことができる可能性がある中で「自分が朝起きてくる理由を探す」、そういったことが実はすごく大切なことなのではないだろうか、遊びというのはただのアミューズメントだけではなく、本当に自分がやりたいことの根っこみたいなものを探るということが遊びなのではないか……というのがここの本棚でちょっと知ってもらいたいことです。幅 允孝

BOOTH 06

生まれてこのかた、ずっとかたわらにいたはずの「死」が急に身近にせまり、かえって実感された「いま生きている」こと。看護をしながら、誰かの心配をしながら、命のはかなさと貴重さを思った。

死ぬ

COMMENT

いよいよ最後は「死ぬ」という棚になります。ずいぶんシリアスだなあ、と思われるかもしれないんですが、コロナ禍において誰もが「死」というものを身近に感じることになりました。自分にもその可能性がある、前からわかっていたけれども確実にやってくるということを確認した、そういう時期だと思います。ですから人が歳をとって老いていくということはどういうことなのかという本『老年という海をゆく』だったり、死というものを常に横に置きながらどういうふうに人が生活していくのか、どういうふうに送り出すのかということを考える本『死を生きた人びと』だったり、ヴィクトール・E・フランクルの名著『死と愛』をめぐりながら、やはり死を考えるということは、生きることを考えることと同義だと頷いてもらったり。そうした側面から「死ぬ」という動詞をあえてピックアップさせていただきました。幅 允孝

忘れたくない本

クラウドファンディングプロジェクト「忘れたくない本のはなし

日本出版クラブでは、「忘れたくないあなたの1冊」と「エピソード」を

「エピソード」を自身と、次世代のために残すプロジェクトをスタートしました。

プロジェクトをスタートしました。 

 

昨年来のコロナ禍によって

予期せず与えられた時間の中で「読み返した本」「ずっと読みたくてはじめて読んだ本」

「ずっと読みたくてはじめて読んだ本」「日々を支えてくれた本」など……。

くれた本」など……。 

 

私たち1人1人が気づいた「忘れたくないこと」「大切なこと」

「大切なこと」「あの日々の真実」を

1冊の本に託して、のこしてみませんか?

 

支援していただいた方々のお名前と「忘れたくない1冊」「エピソード」は

「エピソード」は出版クラブのサイトに掲載、あるいは本の形にまとめて

本の形にまとめて「未来に残したい本」の1冊として、

「クラブライブラリー」に収蔵いたします。

 

ブックデザインは重実生哉さん、

編集にはブックディレクターの幅允孝さんにも

ご参加いただきます。

さらに来年5月には、その1冊をKEY BOOKに

「小さな本の展覧会」を開催予定です。

 

時代や思いを記録に残し、距離も世代も超えて共有できる

本の力を借りて、未曾有の災禍を

わたしたち1人1人の真実の声で継いでいく企画です。

ぜひご参加ください。

詳細と応募はこちらから

Exhibition展覧会概要

  • address会場

    日本出版クラブ 3F クラブライブラリー
    〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-32

  • accessアクセス

    神保町駅 A5出口より徒歩2分
    (東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄新宿線・三田線)

  • Session会期

    2021年5月14(金)~9月17(金)※予定
    8:30~19:30(土・日・祝日を除く)
    ※開館時間は変更になる場合がございます。

主催 一般財団法人 日本出版クラブ
お問い合わせ TEL 03-5577-1771

日本出版クラブは、出版に関する各種の調査研究や研修会、講演会の開催、出版クラブ会館の運営などを通じて、出版人の交流親睦をはかり、出版文化の昂揚発展に寄与することを目的としております。

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    BOOK LISTBOOTH 02食べる

      BOOK LISTBOOTH 03歩く

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            BOOK LISTBOOTH 06死ぬ

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